文房具が汚れる。
2010年 04月 25日
本当は「ちょっと」どころじゃなかったが、途中ブランクがあるとはいえ接客業に就いて十年近くになるし、年ももう若くないから、「ちょっと」ということにしておく。
接客業にはどうしてもつきもののクレーマー。
こちらに落ち度があってクレームに発展したのならともかく、最初から最後まで100%お客さん側が悪く、途中から馬鹿馬鹿しくなるほどだった。
私はけっして愛想のある店員ではないが、丁寧な接客を心がけているし、アルバイトという立場も十分理解しているつもりだ。
上司にきちんと指示を仰ぎ、その通りに応対してキレられたのだからダメージは最小。
それでも捨ぜりふというやつはたちが悪い。
私みたいな文房具マニアじゃなくても、文房具屋のファンは多い。
店内をそぞろ歩きながら、「ずっといてても飽きひんよなあ」「わくわくするよなあ」などという会話をかわすお客さんをよく見かけるし、一人でわくわくしながら買い物を楽しんでいるお客さんもたくさんいる。
たった数百円。
替芯や消しゴムであればたった数十円で楽しい買い物ができる。
そのささやかな買い物が、あらゆる創造活動の起爆剤になる。
文房具屋とはそういう店だと思っている。
二度と来るか、と捨ぜりふを吐かれたとき、謝る気はすでにゼロだった。
もう来なくていいと思った。
文房具が汚れるから。
文房具が汚れる。
かつてそう思ったことがあったなと思った。
一番大事なものが汚れていくのを見ていられなかった。
だからここに来たのだったな。