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無罫フォント

猫町フミヲの文房具日記

万年筆、替芯、トラベラーズノート。

問屋やメーカーの都合に振り回された一日。
われわれが悪くなくても、最終的にお客さんと向き合うのはわれわれ。
単に詫びるのではなく、何か他に良い提案があるのではないかとかけずり回り、その結果、どの案件もうまくおさまった。
おかげで他の仕事はほとんど何もできず。
抜け殻のようになってレジに立ち尽くすのみ

そんな踏んだり蹴ったりの一日にもちゃんといいことがあるんです。

いいことその1。
買い物のついでに急に万年筆が見てみたくなったお客さんとの素敵万年筆トーーーク。

試し書きの感じからもうずいぶん万年筆に慣れておられる印象。
聞けば舶来ものを中心にかなりあれこれ使っておられるが、国産は未開拓とか。
PILOTとセーラーを試し、セーラーのプロフェッショナルギアスリムM(小生の独断で置いております)の書き心地が相当お気に召したようだったが、なんかもっとこう軸がどっしりと大きいものを探しておられたようで…

万年筆の品揃えが赤ちゃん並みの当店にはそんな素敵なんありません…
キングプロフィットとかがあればよかったんですけど…
だけど、まったく期待していなかったのに万年筆の話がいろいろできたことでお客さんは楽しかったみたい。
トークだけならいつでも大歓迎☆

いいことその2。
ジェットストリーム4+1の替芯SXR-80-05を買いに来られたデキるビジネスマン風の若者。
はいはい、と用意していると、シャーボxを胸元から取り出し中を開けて4C芯をつまみ出し、
「本当はこの芯(4C芯)でこれ(SXR-80-05)みたいななめらかさのんが欲しいんですよ」

キターーージェットストリーム4C芯化希望ーーー
ほらほら三菱の人!
こんな感じで言われるんですよ!
ってこんなとこ見てないでしょうけど。

で、その4C芯をよく見ると、PILOTのBRF-8EF。
なるほど細字派かあ。
ZEBRAのインクよりはPILOTを選んでみたものの、SXR-80-05ほどのなめらかさはなかったといったところか…
とりあえず、ジェットストリームの4C芯は今はまだないことを説明し、ちょっと感じが違うかもしれないが、最後の選択肢としてシャーボxのゲル芯をすすめることに。
インクがすぐになくなることも合わせて説明。

でも…ジェットストリームの0.5はゲルの0.3から0.4くらいの筆記感。
シャーボxのゲル芯は0.4までしかないから…やっぱりジェットストリーム0.5のほうが細くて書きやすく感じるだろうなあ。
インクの乾きも気にしなくていいし。
まったく、なんて優秀なんだジェットストリーム0.5は!
そしてなんで4C芯化しないんださっさと!
三菱の人!
(今思ったが、晴れて4C芯化して、でもそれが0.7だけだったら絶対に絶対に絶対に許さん…)

と、ここまで書いて、なんか似たような接客したなあと以前の日記を読み返すと…
同じお客さんやった…(案外深い4C芯の世界。参照)
PILOTのBRF-8EFが入っていた…って売って入れたんワシやがな。
そうかそうかあのときは0.5はPILOTしか置いてなかったんや。

そして替芯を買いに来たジェットストリーム4+1の本体を売ったのもワシ…
ああ、この、「ふむふむと納得し、結局は両方買ってくださったが、エンジン全開のジェットストリームの0.5を体験してしまうと、ジェットストリームの4C芯があればときっと思うことだろう」ってとこ。
まんまそのとおりになりました。
ブログに書いておくもんですなあ…

でも2回とも一番マニアックな店員に当たったそのお客さん…
(´_ゝ`)…
今度来られた時にはジェットストリームの4C芯が出ているといいなあ。
三菱の人、よろしくお願いいたします。

そしていいことその3。
ついについに…我がトラベラーズノートが売れましたーーー
それもスタンダードサイズ、パスポートサイズ同時にーーー
小一時間吟味して、買って行かれましたーーー

LIFEのホワイトヴィンテージ同様、今まではまったく売れていなかったかわいそうなトラベラーズノート。
なのにダイアリーまで入って来て、売り場だけは充実しまくり、せつなさに拍車がかかっていたところだった。
よかった。
選んでもらえて本当によかった。

いい革のカバーがついているとはいえ、冷静になると¥3000以上もするトラベラーズノート。
そりゃさくさくとは売れません。
が、じっくり何度も足を運んで、買おうかな、やっぱり別のにしようかな、と迷って悩んで、自分のお財布と相談して、それでもまたやって来て買ってくださる人はいる。
なぜなら、トラベラーズノートの持つ高級感や特別感は代替えのきかないものだからだ。

ああ、この感じ、書店員時代に専門書を売っていたときの気持ちに似ているな。
安いベストセラーを10冊売るより、誰が読むん、みたいな専門書を1冊売る喜びがあった。

トラベラーズノートそのものの魅力がほとんどとはいえ、サンプルを書いたかいもありました。
かなり両サンプルを吟味しておられたので(スタンダードサイズのサンプルは昔のだけど)。
内容はともかく、実際に筆記具で書いてみたうえで紙質について言及している点は、どこのサンプルにも負けない自信があります。

明日も頑張ろっと。
by mukei_font | 2010-10-07 03:22 | 文具屋日記 | Comments(0)

by 猫町フミヲ@無罫フォント
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