SmaSTATION!!と加圧式ボールペン。
2011年 10月 24日
先ほど読んできました。
同僚たちによるとやはり昨日から「SmaSTATION!!で見た」という問い合わせが相次いでいるとか。
デコラッシュ、マルチボール、バイモ80…なるほどね。
ブギーボードやマメモもSmaSTATION!!効果でしたか。
しかし上記HPにおける加圧式ボールペンについての説明はちょっとテキトーすぎるようです。
テキトーすぎるというか間違っているような気さえします。
「ボールペンは、ペン立てに上向きに置いただけで、ボールの隙間から空気が入り込みインクが出づらくなり、これがかすれの原因となるのです」(上記HPより)
これ違うと思います。
こんな説明されたらそりゃペンの保管方法が心配になるわ。
保管中に空気が入るのは昨日も書いたように、キャップ式のゲルインクのときだけと考えていいと思います。
正確には「芯に不具合をもたらすほどに空気が入るのは」キャップ式のゲルインクだけ。
本当は油性ボールペンにも同じことが言えるのかもしれませんが、油性とゲルとではインクの質が違いますから。
油性インクは粘度が高くぬたぬたしているので、上を向けて置いた程度で空気が入って逆流することはないはずです。
ボールペンの芯に空気が入るのは保管中よりも圧倒的に「書いている最中」。
空気混入に関する芯のトラブルではむしろこっちがほとんどだと思います。
前にも書いたように思いますが(タフな文房具・其の三。参照)、この空気の混入を引き起こす「上向き筆記」というのをわれわれはしばしばやっております。
「上向いて書いてない」と皆さんおっしゃいますが、やっておられます。
壁にかかったカレンダーに予定を書き込む瞬間、ペン先はどうなっているでしょうか。
水平よりも上向きになっていないでしょうか。
クリップボードにはさんだ書類に文字を記入する瞬間、ペン先はどうなっているでしょうか。
ペン先は上を向いていないでしょうか。
もちろんこれを1回や2回やっただけで書けなくなるわけではないので、運良く最後まで芯を使い切れる場合もあります。
仮に空気が入っても若干重力で元に戻るようなことが実際にあります。
が、やっぱり空気は入っているわけで、ゆっくりボールからインクは離れていきます。
これがかすれの原因になります。
展示会でわざと上向き筆記をして芯を書けなくする実験を見たことがあります。
ペン先を真上に向けてぐりぐりぐりぐりと書きなぐっているとインクはすぐに出なくなります。
そしてその芯をペン先を上に向けたまま立てていると、インクは見事に逆流します。
ここまで劇的で分かりやすくはないものの、要はそういうことが起こっているのだと思います。
今日、三菱の人がいたので早速聞いてみましたが、やはり空気の混入は「書いている最中」の話という意見。
ペンの保管方法については昨日の小生のまとめでだいたい合っているようです。
せっかく「SmaSTATION!!」のような影響力のある番組で取り上げるのだから、加圧式ボールペンの説明と一緒に「どんな書き方がNGか」についてテッテ的に説明してほしかったです。
怖いのはペン立てに上向きに置くことじゃないんです。
皆が意識せずに上向き筆記をしてしまっていることが怖いんです。
実は今日もトラブルがありました。
芯が途中で書けなくなったとのクレーム。
芯を見たらインクがもれていたのでこれは空気が入ったなと思い、一通り説明をしたのですが、理解されませんでしたね。
「そんなことくらいで」
よく言われます。
でも本当のことだからしかたないんです。
その使い方で機嫌を損ねない芯なんてないんです。
それは芯が不良品なんじゃなくて、使い方に問題があるんです。
当たり前に使っているボールペン、本当はデリケートなんです。
まあ後半は心の声ですが。
だからこその加圧式なんですね。
加圧式ならこういうトラブル一切なし。
なんせ加圧されていますからペン先から空気は入りません。
PILOTのフリクションは確かにアイデア的にすごいボールペンだし革命的だと思いますが、小生は加圧式ボールペンの方がむしろ多くの人に求められているものなのではないかと考えています。
フリクションは必要のない人にはとことん必要のないペンですが、加圧式ボールペンは普段使いのボールペンのトラブルを限りなくゼロにした「普通の顔をした最強のペン」。
普通のボールペンをトラブルなく使いたいすべての人に必要なペンが加圧式ボールペンなのではないかと思います。
しかし、上向きに筆記したら書けなくなるのは、子供の頃にみんな経験済みだと思ってましたがそうでもないんですね。
あ、そうそう。スペースペンってありますよね。無重力状態でも問題なく書けるという。これの存在も、重力がインクを下げるというイメージにつながっているのかもしれませんね。
そうなんですよ。
書いている最中は分からないし、実際に空気が入ったあとも劇的にどばーっと逆流するわけじゃないですから。
どばーっとなっているのを発見するのは多機能ペンの芯を替えるとき。
お客さんに「替えて」と言われて芯を引き抜くとにちゃー…
「逆流してますね…」と言いながらぬたぬたになった部分を芯を出し入れしながらきれいにする(あまりきれいにならない)…というのをよくやります。
金属芯は短いし、逆流したら待ったなしですから。
スペースペンも加圧式ボールペンですよね。
フィッシャーはデザインがかわいいのが多いのがいいですね。