魅せられて。
2011年 11月 01日
そういうことに一番力が入っているのはアパレル業界だと思うが、文房具屋の片隅でもそういうことがあったりする。
例えば店員が使っている筆記具。
カードにサインをするときに店員に借りたペンが書きやすく、しかもかっこよかったりした場合、店員と同じペンが欲しくなったりする。
いい話だなと思うし、本当はそうあるべきなんだと思う。
が、小生には無縁の話だと思ってきた。
なぜなら小生が使っているのは何も特別なペンではなく、今やすっかり有名になってしまったジェットストリームだからである。
もちろんまだジェットストリームを知らない人はたくさんいるし、たまには「うわーなめらかに書けるなーこれ何?」と聞かれることもあるが、それは魅力的な商品をたまたま店員が使っていただけの話。
店員が魅せているのとは違う。
店員が魅せる筆記具とは、例えば隠れたロングセラー商品とか、店頭にはないが取り寄せは可能な高級目の筆記具、あるいは舶来ものの筆記具。
あまり見たことがなくて、珍しくて、かっこよくて、それでいて優秀なもの。
そのいずれも使っていない小生には関係のない世界の話だと思っていた。
が、ついに小生に「その時」が来たようだ。
小生に魅せられる人が現れた。
魅せてしまったのはこの人。
その名もコイルコードジェットストリーム。
「せっかく買ったペンをなくした」
憮然とした顔で同じものを買い直そうとするお客さんを接客。
最初は機械的にレジ打ちして終わるはずだったが、ヒモをつけたいとか首からさげたいとか言い出し始め、一緒に方法を考えることに。
一つの案として軽い気持ちで小生のコイルコードジェットストリームを見せた瞬間お客さんの目がきらーん。
「それと同じやつで」
自分自身が必死になってあれこれ考えて選んだだけあって、説明はスムーズ。
一応他のパーツや案もいろいろ提示してみたが、お客さんの目にはもはやコイルコードジェットストリームしか映っていない様子。
あいにく品切れしているパーツもあったが、どうしても同じようにしたいということで取り寄せに。
毎日かなり間抜けにびよーんびよーんやっていたが、たまにはこういう晴れがましいこともあるようだ。
ただ、今日のはお客さんの方でそういうニーズがすでに高まっていたので真実「魅せた」わけではない。
何も考えていない無防備な人のハートを直撃するようなそんな奇跡がいつか起こればいいと思う。