現代シャープペン事情~クルトガ篇~
2012年 10月 10日
昨日の記事はこちら。
現代シャープペン事情~クラスで人気のシャープペン篇~
昨日もあれこれと書きましたが、今回の調査は小生がずっと店頭や街中で聞いてみたかった素朴な疑問に端を発したもの。
その最たるものが今回のクルトガに関する質問です。
今一度質問項目を振り返ってみましょう。
・クルトガについて実際のところどう思っているのか(好きなところ、嫌いなところは?)
小生が文具店員になったその年に世に出たクルトガ。
見る間にスターダムにのし上がったクルトガを、店頭で売るにつけ、テレビや雑誌で目にするにつけ、街中で見かけるにつけ、とにかくユーザーの声を聞いてみたいとずっと思っていました。
クルトガがここまで支持される理由を聞いてみたい。
そしてそこに不満はないのだろうかと。
もっともそういう気持ちに駆り立てたのは自身の使用感でした。
三菱、PILOT、ぺんてる3社のシャープ芯の比較研究(ごめんなさいいまだにまとめられていないですゆるしてください)の際にたっぷりクルトガと触れ合い、そこで感じた違和感。
普通に書きにくいなこれ…
そういう思いがずっとあったわけです。
そして先日行った広島でクルトガの驚異の浸透力を目の当たりにし、ついに本気で聞いてみたくなったのです。
Do you like KURUTOGA?
君たちはクルトガが好きなのか、と。
そういう意味では今夜の記事はいきなりクライマックスです。
他の質問ももちろん重要なのですが、とにかく一番の目玉であるのは間違いありません。
それではまず、昨日の「クラスで人気のシャープペン篇」を振り返りながら、クルトガの人気の秘密に迫っていきましょう。
昨日の記事では、今回の調査からはじき出された「クラスで人気のシャープペン」を列挙するにとどめましたが、今夜はその理由や背景を見ていきます。
まずは下馬評どおり見事「クラスで人気のシャープペン」第1位に輝いたクルトガへのコメントから。
「圧倒的」とのコメントをお寄せくださったのが、けいさん(高・女)、じぇのさん(高・男)。
ほぼ全員が所持しているとご報告くださったのが、ニカさん(中・女)、須々木さん(中・女)。
半数所持とのコメントをお寄せくださったのが、leicaさん(中学教師)。
Dr.グリップとの2強を指摘されたのが、ぽにょさん(予備校・男)、よもぎんさん(中・女)。
3割がクルトガを使用と冷静に分析されたのが、mattariettoさん(高・男)、もりたかさん(中・男)。
いやはや、すごい人気、リアルな人気です。
さらに「男子はスタンダードモデル、女子は限定軸のクルトガを使用」との具体的な報告や(ねぎさん・高・女)、それらの人気を分析する声、たとえば限定軸が女子を惹きつけているのでは、という指摘をニカさんや元若者さん(塾講師)からいただきました。
ニカさんによると、「女子はみんな違うクルトガを持っている」とか…
「限定」ものの底力を見る思いがします。
やっぱり女子は「限定」に弱いのかしらん…
こういうコメントを目の当たりにすると、各メーカーがこぞって女子をターゲットにした限定ものを出すのも仕方がない気がしますね。
閑話休題。
こんなふうに、やんややんやと支持されているクルトガですが、ちょっとおもしろいことがあるんです。
今回の調査では「愛用のシャープペン」についても聞いたのですが、その結果がおもしろい。
これについては3日後くらいに正式に記事にする予定ですが、「愛用のシャープペン」にクルトガをあげたのは何人だったと思いますか。
2人です。
こんなに中高生に大人気のクルトガなのになぜ?
クルトガに何が起こっているのか?
そこで今回の質問です。
・クルトガについて実際のところどう思っているのか(好きなところ、嫌いなところは?)
まずクルトガを評価する声から聞いてみましょう。
クルトガへの評価のポイントは3つあります。
すなわち、クルトガエンジンに関するもの、限定デザインに関するもの、そしてクルトガαゲルに関するもの。
クルトガのそもそもの売りであるクルトガエンジンを評価するコメントをお寄せくださったのは、shokoさん(中・女)、ライホウさん(大・男)、じぇのさん(高・男)。
皆さんそれぞれ、細く書ける点、常に同じ太さで書ける点、綺麗に書ける点を評価されている様子。
まさにクルトガの売り文句どおりです。
限定デザインを評価するコメントはやはり女性から。
あんずさん(高・女)は複数本所持、よもぎんさん(中・女)もかわいい柄を見つけるとつい買ってしまうとか。
かと思えば、男性であるぽにょさん(予備校・男)からも「ポップな軸展開が好き」とのコメント。
デザインの持つ魅力もあなどれません。
さらにこれは今回調査するまで完全に小生の頭にはなかったことですが、意外にもクルトガαゲルが人気なんですね。
あんずさん、ライホウさん、ねぎさん(高・女)がクルトガαゲルを評価、そのうちライホウさん、ねぎさんのお二人は「愛用シャープペン」としてもクルトガαゲルを挙げておられます。
ライホウさんは「長時間使用しても痛くなりにくく、スタンダードより太くちょうどよく」、ねぎさんは「クルトガ機能は好きなのですが、出たての頃に買った最初のクルトガは塗装が剥げてみすぼらしく?なってしまうのが苦手」だったからクルトガαゲルを選ばれたとか。
それぞれの理由があるようで興味深いです。
こんなふうにクルトガを愛しておられる方も多い一方で、クルトガへのダメ出しもかなり飛び出しています。
クルトガへの不満は4つ。
すなわち、不安定なペン先に関するもの、クルトガエンジンそのものに関するもの、グリップに関するもの、塗装に関するもの。
この中で圧倒的だったのは、不安定なペン先に関する不満。
実に7人の方からの指摘がありました。
7人というのは今回の調査協力者の学生の人数(15人)の半数にあたります。
「筆記時にぐらぐらしてしまう」(もりたかさん・中・男)、「独特の沈みこみがきもちわるく」(けいさん・高・女)、「書くたびに先端が沈むのが書きにくく」(レイさん・高・男)、「ひざかっくんをされているような感じ」(よもぎんさん・中・女)、「ペン先がぐらついて不安定」(須々木さん・中・女)…皆さん同じことをおっしゃっています。
なるほど。
小生だけじゃなかったんですね。
また、クルトガエンジンそのものへの不満には、ペン先が回転しなくても自分が回してしまうという意見がレイさん、ぽにょさんから。
そこまで求めていないという方もおられるようです。
森野カノコさん(大・女)からは、そもそも削れて芯の太くなったシャープ芯が好き、という開発者が泣きだしそうなコメントも…
もちろんこれは少数派かもしれませんが…
そしてこれは学生ではなく大人からの指摘でしたが、てっつぁんさんからは「回転が逆」であるという苦情も…
これは展示会のときにも少し耳にはさみました。
そういう不満がやはりあるということですね。
グリップへの不満については、mattariettoさん(高・男)、ニカさん(中・女)ともに「痛い」とのこと(ニカさんは先端のゴムが切れた場合ということらしいですが)。
が、これについては、ラバーグリップ付きクルトガが発売される予定。
HPには載っていませんが、予定はあるはず(もう並んでいたらすみません)。
これもそういう不満から出発した新商品なのでしょうか。
そして最後は塗装に関する不満。
先ほど述べたように、ねぎさんは塗装がはげてみすぼらしくなるのが嫌でクルトガαゲルを選ばれたとのこと。
クラスメイトが塗装がはげるまで使っているとのコメントもあんずさんから届いています。
塗装への不満が出るあたり…本当に使い込む学生さんの意見だなあと思いますね。
ちょっと使ってみただけでああだこうだいう大人はお呼びでない感じがします。
本当にいろいろ貴重なご意見をありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
世の中高生に圧倒的に支持されているクルトガ。
そのクルトガにいろいろな側面があることがお分かりいただけたでしょうか。
便利なのは確かに分かる、必要な局面もある、でも書き心地がいいわけではけっしてない。
そんな感じでクルトガは中高生の筆箱にほぼもれなくおさまっているのかもしれません。
これは中学教師であるleicaさんのコメントにも見て取れます。
とはいえ、でもこのブログの読者=世の中高生じゃないのは昨日述べたとおり。
もちろん便利だ便利だと使っている中高生もたくさんいることでしょう。
でも、実際に若い読者の方からいろんな意見を聞くことができ、積年の小生のもやもやはかなりすっきりしたように思います。
長い記事におつきあいくださり、ありがとうございました。
私の周り以外の人の状況だったり、クルトガに対する様々な意見が
あり、結果も思った通りのものもあれば、おやってものもあり、とても面白い企画だったと思います。
苦手派の意見を見てみて、みなさんが書き心地だったを気にしているんだと、感心してしまいました。私はただとんがり続けてるのがうれしいってことで使っていて、そこまで考えてシャーペンを使ったことがありませんでした。
シャーペンひとつとってもここまで幅広い意見が出るとは、文房具も侮れないと改めて感じました。今後はもうちょっと考えて楽しみつつ、愛用品を探していこうと考える今日この頃です。
このたびは調査にご協力いただきましてありがとうございました。
まだもう少しこのシリーズは続きがありますので、最後まで楽しんでいってくださいね。
本文中にも書きましたが、ライホウさんは太軸シャープがお好きなようですね。
大きめの字を書かれるのでしょうか。
ちょっと気になりました。
複数の編に分かれていると思わず、先走ってコメントをしてしまったみたいですね。最後まで楽しませてもらいます。
よく考えるとシャーペンに限らず、太軸系のペンを好んで使っていますね。ノートなどに書くときは、基本大き目の字を書いています。これは、私が上手に字を書けなく、文字を小さく書くと後で読むとき、自分で書いた字を解読する必要があるからです。それにプラスして私の指が太くて、太軸がちょうどいい感じになるというのもあります。
あと2回ほどシリーズが残っているのですが、連日の長文記事はちょっと無理ですね…
学生時代のレポートを思い出します…
ライホウさん、やはり太軸好きでしたか。
大きめの字で数式というのがそそられます。
文具店で棚を眺めていたとき、卸の方が店員さんに話していたのを小耳に挟んだのですが、「中高生の間では、クルトガの500円のじゃなくて1000円のを持つのがステータスになっている」、だそうです。
ちなみにリンク先の画像は米国向けクルトガのパッケージですが、ナノダイヤ芯と替えの消しゴムが付いています。
情報ありがとうございます。
ラバーグリップ付クルトガよりもクルトガ芯のほうに興味があります。
実験してみたいな…
でも一瞬の感触を試すためにわざわざ買うのも…
0.3、人気なくはないんじゃないですか?
ただ0.5が圧倒的なんでしょうね。
私もクルトガが何でこんなに人気があるのか分からなかったんですよね・・・
書きにくいだけじゃん
って思ってました. そして,
>そもそも削れて芯の太くなったシャープ芯が好き
という気持ちもよくわかります.
そんな私は中学高校学部修士とドクターグリップを使ってきました.
博士の今はシャープペンを使うことは滅多になくなり, もっぱらボールペンと万年筆がメインになりましたが,
シャープペンは (ボールペンもですが) 野原工芸の木軸になりました.
アンケート取ってる時期に見つけたら参加できたのにと残念に思ってます.
クルトガお好きなんですね。
クルトガに慣れてしまうと、他のシャープペンは字が太るなーと感じるものでしょうか。
クルトガ以外のシャープペンからシャープペンに出会った人と、最初に出会ったシャープペンがクルトガの人とでは当然反応も違ってくるでしょうね。
そうなんですよ、過去にちょっと頑張ってやってみたシリーズなんです(自分で再読してもかなり楽しい)。
素朴なアンケートだったのでデータを分析するのが非常に大変だった思い出があります。
「みんな使っているし自分も持っているけど、お気に入りかというとそうでもない」という結果が楽しかったです。