PILOT・タイムラインシャープペンシル。
2012年 11月 06日
今回取り上げるのはタイムラインの新シリーズ。
今までは油性ボールペンとゲルインクボールペンしかなかったタイムラインにシャープペンが新登場。
いやー。
これは素晴らしかったです。
高級筆記具コーナーで一番感動したのがこれでした(コクーンの万年筆でも十分楽しんだくせに)。
基本的に一般人には開放していないPILOTの展示会では招待客は業界人です。
業界人というのはこういう場に来慣れているので、ざっくりと見て回ることがほとんどです。
もちろん細かいことを質問したり、それに答えたりというやり取りも散見されますが、それらはあくまでもビジネス前提。
店に置くべき商品かどうかを判断するため、あるいはお客さまからいかにも聞かれそうな質問を先回りして聞いておく、そんな感じです。
展示会というのはそういうものです。
が、小生の立場はいつもそういうものではありませんでした。
ただ「いろいろ見て勉強してくること」だけを目的に展示会に行かせてもらっていたのです。
それは最初に就職した文房具屋でも、次に就職した文房具屋でもそうでした。
示し合わせたように上司たちに言われたものでした。
「一番勉強したい人が行くべき」
なので、展示会の会場では基本的に放牧状態。
案内人がいてもいなくても自分のペースで質問したり興奮したり、好きにやっておりました。
一応店に戻る時間はあるものの、基本的には自由。
交換する名刺さえ持たないまま、いつも各ブースで濃くも楽しい時間を過ごし、担当の人と顔見知りになったりもしました。
高級筆記具のブースにいつもおられる方もそんな一人。
一昨年が多機能筆記具のリッジ(の高いやつ)。
昨年がシャープペンのオートマック。
そして今年がタイムラインシャープペン。
一見物静かな方なのですが、熱い方でもあり、子どものような質問に嫌な顔一つせず、どんどん答えてくださる。
興奮する小生をあたたかく見守りつつ、いろいろな苦労話をしてくださる。
この方との会話から得た知識は数知れず、そしてその知識をベースにした接客で売った高級筆記具もまた数知れず。
それらの高級筆記具を喜んでくださった方の顔までまだ思い出せるほど、本当にお世話になった担当者なのですが、その方のおすすめが今回のタイムラインシャープペンシル。
タイムラインシャープペンシルのすごさを一言で言うと、従来のタイムラインのままシャープペンシルになりえたということ。
完成品を見せられれば「ふうん」という感じなのですが、ボールペンと同じ形のままシャープペンにすることの難しさ。
もともとタイムラインボールペンとて二段繰り出し式(最初の繰り出しで口金、二度目の繰り出しで芯が出る)というちょっと変わった構造になっているわけで、それをどうシャープペンに応用するのか?
シャープペンは口金を出すだけではすまない。
口金を出した後のノックをどうするのか?
素人考えでは、最初の繰り出しで口金を出し、二度目以降の繰り出しがノック代わりとなってカチカチひねりながら芯を出すのかと思っていたのですが、二度目の繰り出しで「ノックしろ」が出るという素敵さ。
よかったです。
あのひねりながら芯を出す系のペンシル、舶来ものの筆記具の中にはあったりしますが、小生の中では病気認定なので(使いにくい)。
担当の方の話ではこの「ノックしろ」に行きつくまでが試行錯誤だったとか。
確かに最初からノック部分をノブの形で確保してしまうと、それはもうタイムラインのフォルムじゃなくなってしまいますもんね。
大いに興奮していると、「そんなに言ってくださるなら試作品もすべてお見せしたいほどです」と。
ああ、見てみたい!
「こんなんじゃない感」に満ち溢れたタイムラインになれなかった人々を!
そしてそういう試作品を経て見事デビューにこぎつけたタイムラインシャープペンシルの華々しさ!
先日コメント欄(PILOT・コクーン万年筆。のコメント欄)でのkataさんとのやりとりにも書きましたが、小生はデザイン重視のシャープペンはヘビーユーズにはどうかなと思うところがあります。
というのも、シャープペンは書いている瞬間だけがシャープペンではなく、書いてポイとそのへんに投げ出す瞬間も、再び手に取る瞬間もシャープペンなわけで、そういう瞬間瞬間を考えると、どうしても高級ラインのものは重々しくありすぎるように思うからです。
なので、このタイムラインシャープペンシルに関しても、がんがんに使う人に勧めるかと言われると勧めないかもしれません。
が、それでも小生はこのシャープペンは大いに可能性があると思っています。
何の可能性?
それは贈り物という可能性です。
筆記具を贈り物に選ぶというシーンは非常にしばしばありうる場面ですが、実はそれはとんでもなく難しいことでもあります。
なぜなら日々このようなブログで、ああでもないこうでもないと果てしなく述べ続けるほど筆記具は奥が深く、自分で自分のこともよく分からないのに、他人がその人にぴったりの、あわよくば一番の愛用にしてもらえるような一本を選ぼうというのですから、もうむちゃくちゃというか、頭をかきむしりたくなるようなすごいことをしようとしているわけです。
大げさですがまあそんな感じです。
そこで小生が言いたいのは「贈り物は贈り物だと割り切る気持ちも必要」ということ。
長く使ってもらえるかなど多くを望まず、ああ、これ@@さんにもらったんだ、とほっこりしたエピソードの一部になること。
そんな感じでいいのではないかということです。
そこへ来ると、タイムラインシャープペンシルこそまさに良きエピソードになる資格を持つ筆記具。
この存在感。
ギミック。
そして意外なところで高バランス。
軸の太さが功を奏し、持った感じの安定感も悪くなく、けっしてギミック重視のトンデモ筆記具では終わっていないところ。
もともとタイムラインは贈り物に選ばれがちな筆記具であり、小生がこんなところで熱くならずともいいのですが、タイムラインにシャープペンが加わったことで小生の頭にひらいめいたのがこれ。
男子高生に尊敬されるおじいちゃん、おばあちゃんになれるかもしれない。
いやー完全にイメージなんですが、こういうギミックって男子高生が喜びそうだなと思ったんですよ。
お孫さんの高校入学のお祝いに高級シャープペンを贈ろうとする場面というのは本当によくあるのですが、そんなときに機能もデザインも中途半端な、値段だけがそれなりのシャープペンなんて選ぶのはもったいないですよね。
仮にそのお孫さんがクルトガやDr.グリップ、あるいはグラフ1000なんかを愛用するような少年でも、おじいちゃんやおばあちゃんにタイムラインシャープペンシルをもらってごらんなさい。
うわーーー
おじいちゃんすっげーーー
こんなん知らんかったーーー
ありがとーーーーー
って絶対なると思ったんです。
それくらいの力はあると思ったんです。
その一瞬のことじゃないかと思うんですよ、贈り物なんて。
そしてそれが大事なんじゃないかと思うんですよ。
かっこよくなりたいおじいちゃん、おばあちゃん(あ、お父さん、お母さんでもいいのか)。
プレゼントの候補に迷ったらぜひ。
今思ったんですが、このブログの若い読者については中学生ぐらいとして、最高齢の読者ってどれくらいなんでしょうか…
わしが最高齢じゃい!と思われる方はこっそり教えてくださると興奮します。
中学入学に貰ったパーカーのジョッターは、今も使えるタフな奴らです(パーツ移植はしてますが)。
そして、持ってる舶来モノの高級文具はパーカーと。
タイムライン、なかなか綺麗なフォルムだから、贈り物候補リストに加えます。
そろそろ友人の息子が中学生とかー。
ボールペンを買ってみようかと思ってたんですが、どーせなら木軸のが欲しくて。となると値段が・・・と二の足踏んでました。
シャーペンは、二段階捻ると軸の真ん中にノックしろが出るんですね。
実物見たら「ほっほー!」となるの間違いなしですねー。
おっさんでもプレゼントされたら飛んで喜びますわww
で、年齢ですが、私は40歳です。昭和47年生まれ。
愛読者最高齢ではなさそうかな・・・
男子中学生でもいいかもしれない!
普段使いしてくれるかどうかは分からないし、分解好きは壊してしまうかもしれませんが(できないことはないはずですが、S3のようにシンプルではないはず)、絶対に尊敬されますよ。
背伸びアイテムのように思えても一番使うのは学生ですしね。
素敵なエピソード付きで使ってもらえるのが一番いいですよね。
おっと「PAST」にいきますか。
かっこいいですよね。
タイムラインシャープペンシルは「ほっほー!」確実。
感動してくれるのは男子高生だけじゃなさそうですね。
そして40歳なんて絶対最高齢じゃないはず…
今考えると、万年筆ってけっこう身近な筆記具だったかも。