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無罫フォント

猫町フミヲの文房具日記

岡山文具旅2:ペンクリニック@うさぎや。

それでは今夜も岡山文具旅の話。

今回の旅の目的はうさぎやで行われるペンクリニック。
うさぎやというのは岡山の有名文具専門店で、そこで行われる元セーラー万年筆のペンドクター川口明弘氏のペンクリニックにどうしても行きたかったのです(そのあたりのいきさつはペンドクターと万年筆。参照)。

倉敷在住のわかば84さんのアドバイスどおり倉敷駅からバスで行くことにして、雨の中うさぎやへ。
うっかりカメラを忘れてきてしまい、うさぎやの看板を激写することができなかったのは残念でしたが、もしカメラがあってもあの雨では…

さて、うさぎやに入るやいなやまっすぐにペンクリニックコーナーを目指します。
川口先生がおられました。
幸い混んでなさそうです。

カルテに名前や住所を書いていると、兵庫県から来たということに驚かれている様子。
まあ兵庫県の一番西の端にある町とはいえ電車で2時間ばかりかかりますから…
でも川口先生ファンはもっと遠くから馳せ参じると耳にします。

一番最初に見てもらった万年筆はPILOTのカスタムヘリテイジ912
日々日記に使っているものの、どうにもこうにもインクが薄いというか、窮屈な書き味に納得がいかず、もう少しなめらかに書けるようにしてほしいとお願いしました。
ペン先をじっとルーペでのぞき、幾度か試筆するや、ピッとペン先を引っこ抜く川口先生。

「やっぱり持ち方が悪すぎるからでしょうか?」
「いつごろ買ったの?」
「今年の3月です」
「これ全然毛細管が働いてないね。最初から」

Oh…そいつは不可抗力。
持ってきてよかった。

万年筆用のロールペンケースを広げていると、「どんどん見ますよ」とのお言葉。
お次はPILOTのシルバーンを見てもらうことに。
使えることは使えるものの、小生の使い方では少々引っかかるところが気になっていました。

「これどうしたの?すごくいいねこれ」と言われ、手に入れたいきさつなどを説明。
古い万年筆のほうがしっかり作ってあること、はめ込み式のニブは敬遠されがちな手法で最近はないこと(高価になるため)、今のシルバーンよりも価値のあることなどを語ってくださいました。
ひーこりゃ頑張って使わないと…
しかしせっかく調整してもらっても小生の書く文字は例の…

「すみません。どうしてもこの持ち方(ペン先を真横に向ける)じゃないと書けないんです」と思わずうつむいてしまう小生。
川口先生がこんなにほめてくださる万年筆なのに、自分には到底使いこなせないのが残念で。
現に川口先生が書くとさらさらペンが走っても、小生が持つとぎこちない部分は否めません。
「万年筆は本来こう書くものだからね(ペン先を上に向けてさらさらと書いて見せながら)…でもその持ち方でも大丈夫です。ただ、理想の書き味になるには遠回りになる。自分で調整していくんです」

なるほど。
回り道になるけど、それでも使っているうちになんとかなるのなら。

それにしても川口先生に調整してもらったプロフェッショナルギアスリムの書き味がよすぎて、以前の調整の感謝を伝えると、それも見てみましょうということでメンテナンスしてくださいました。
ありがとうございます。

それからさらに先日手にした古い万年筆、プラチナ・ポケットまで見ていただき、感謝感謝でペンクリニックをあとにしました。

見事復活した人たち。
できるだけ持ち方を意識しながら、あとはひたすら使い続けることにします。
岡山文具旅2:ペンクリニック@うさぎや。_f0220714_00644.jpg

Commented by ね太郎 at 2012-11-22 22:30 x
こんばんは、ね太郎です。
ペンクリ、いいですね~
小生は経験ないので、目の前でみるみる馴染んでいくさまは、想像しただけでうらやましくなってしまいます。
この前手に入れたチャールストンは空振り多発で販売店に入院したのですが、帰ってきたら太字ぬらぬら、筆圧なしでオッケー状態となっておりました。これはこれでいいのだけれど、目の前でその変わり様を見ておきたかったと思うのでした。
猫町さん絶賛の川口ドクターは西の方が拠点なんでしょうか。近場で機会があれば逃さず飛びつきます。
Commented by anbo at 2012-11-23 01:06 x
こんばんわ、たびたびこちらで勉強させていただいてます!
猫町さんの文字、すごいいい味だしてると思います。几帳面な中にも窮屈な神経質さは感じず、むしろほんわかした温かみのあるきれいな字だと思います。もちろん、猫町さんのペンの持ち方が写真の通りだとしたら、教科書的には「典型的な悪いお手本」wとなっちゃうわけですが、「それが何か問題でも?」って感じです。字なんて社会生活に支障をきたさない限りにおいて、好きに、絵のごとく自由であると思います。持ち方だってなんでもよかろいうもん。ではでは。
Commented by mukei_font at 2012-11-26 20:21
>ね太郎さん
ペンクリニックはドキドキしながら見守っているうちにあっという間に調整される感じです。
川口先生の手際が素晴らしくて、ずっと見ていたいような気になります。
一ヶ所にとどまらず、全国を行脚したいとおっしゃっていたので、また機会があるかもしれませんね。
Facebookで活動されているとブログの読者の方に教えていただきました。
Commented by mukei_font at 2012-11-26 20:22
>anboさん
ああ…
言われてみればどうして最悪なペンの持ち方をトップの画像にしているのか…
手書きで文字を書いている画像がよかろうと選んだように思うのですが、典型的な悪い持ち方ですね。
あれは実際の持ち方なんですよ。
皆さんずっと眉をひそめておられたのかもしれませんね…
「読みやすい」とか「就職に不利」とか「おもしろい」とかいろいろ言われてきましたが、たぶんこのまま生きていくことでしょう。
大人になったら大人の字になると思っていましたが、見事になりませんでした。
Commented by Passers-by at 2014-06-23 02:35 x
私の筆跡にくらべて、素直な誇りの持てる字体でうらやましい。こんど私もペンクリニックに行きます。神戸市内で4月にペンクリニックがあったようですが、いきそびれました。
ある万年筆をプレピー03より少し補足してもらいたいとかねがね思っているので。
Commented by mukei_font at 2014-06-28 17:24
>Passers-byさん
ありがとうございます。
丁寧に書けば許されるのではないかという甘えで生きてきたように思います。
なんだか生き方とも不思議とリンクしているような…
Commented by ちゃーりー at 2015-12-05 23:39 x
初めまして。過去記事へのコメントで失礼いたします。ペンクリニックについて調べているうちに、こちらの記事にヒットし拝読させて頂きました。(ちなみに僕も兵庫県民です)
まだ万年筆歴3ヶ月の初心者で、先月初めて金ペン(プロフィット)を買って使い始めたばかりなのですが、僕もペン先が左を向く持ち方が直せなくて、矯正すべきか悩んでいた所、この記事とリンクの過去記事への川口先生のお言葉を拝読して、安心しました。まだペンクリニックには行ったことがないので、機会があれば行ってみようと思います。貴重なお言葉を掲載して頂き、ありがとうございました。
Commented by mukei_font at 2015-12-26 20:17
>ちゃーりーさん
はじめまして。
ようこそ無罫フォントへ。
ペンクリニック、おすすめですよ。
特に変わった持ち方をする場合は、プロの言葉を聞いて安心したいというのもあります。
自分はペンドクターに診てもらった万年筆だけが使える、という感じで、もう新しい万年筆を増やすのが怖くなっています。
Commented by ちゃーりー at 2015-12-31 08:57 x
ご丁寧なお返事ありがとうございます。
あの後、梅田でペンクリニックがあったので、長原先生に診て頂きました。「こういう風に持つべきとか、いろいろ書かれてるけど、自分の書きやすい持ち方で書けばいいんよ」と仰って頂きました。ペンクリニックで診て頂いて書きやすくなると、より愛着が湧きますね。
そんなに本数を集めるつもりはないんですが、手帳用にキャップレスデシモを検討しているところに、1月下旬に地元に川口先生がいらっしゃることになったので、それまでに買えたらそちらも診て頂こうかなと思います。長文失礼しました。
Commented by mukei_font at 2016-01-16 22:21
>ちゃーりーさん
ペンドクターに診ていただけたのですね。
どの万年筆も最終的に自分の持ち方になじむと言われますが、あまりにも合わない場合はやはりプロに診ていただきたいですよね。
自分も調整済みの万年筆を大事にしていこうと思っています。
by mukei_font | 2012-11-19 23:58 | 文具屋めぐり | Comments(10)

by 猫町フミヲ@無罫フォント
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