三菱・SXR-5。
2010年 04月 05日
SXR-5の素晴らしさをいったいどんな言葉で表現することができるだろう。
繊細かつ優美。
しなやかでつややかな完璧主義。
油性ボールペンの太さは一般的に0.7mmである。
それに慣れてしまうと、0.5mmの油性ボールペンは相当細く、窮屈に感じる。
ときどき、「油性ボールペンの太さは基本的に0.7ですよ」と言っても信じてもらえず、0.7と0.5を書き比べてもらうことがあるが、両者を比較すると0.5の鋭く尖った感じをはっきりと実感することができる。
が、これは普通の油性ボールペンのインクの話。
ジェットストリームは違う。
インクがなめらかであるがゆえに、0.5本来の針のような固さはあまり感じられない。
もちろん筆記の軽さは0.7や1.0にはかなわないが、細く、確かな線をインクの乾きを気にせずにぐんぐん書いていける快感は何ものにも代え難い。
ただし。
ただし、だ。
使いはじめからいきなりこんなに言うことを素直に聞いてくれる玉などではないのだった。
そこがSXR-5の真骨頂とも言える。
SXR-5は基本的にスロースターターである。
試し書きのぐるぐるを書いた程度ではまず分からない。
単に細い字を書きたい人はそれでもレジに持ってくるだろうが、SXR-5の実力の数分の一もそこでは発揮されていないはずだ。
最初はそっけなく、愛想がなく、がりがりしていたペン先が、いつかエンジンがかかってもうとまらなくなる。
そのエンジンがかかるタイミングはちょっと読むことが難しい。
こんなことではいけないのではないか、という指摘も当然あるだろう。
買った直後からエンジン全開でないと本当は駄目だと思う。
実際にクレームになったことがあって、芯を預かり三菱で調べてもらったら、案の定芯に異常は見つからなかった。
三菱の人はそうじゃないと言うかもしれないが、私はこの「エンジン説」を推したい。
そして、話の分かりそうなマニアックなお客さんにだけこっそりこの話をし、エンジン全開を目指して使ってもらうようにすすめたりするのだった。
昔から人でも何でも、完璧なものにはまったくそそられない性分である。
どこから見ても美人、とか、どこから見ても男前、とかには興味がない。
はいはいそうですかそうですか、という気持ちになる。
そんなの私があえて支持しなくてもいい。
それよりも、神懸かり的に美しく見えたかと思うと、どうしようもなく平凡に見えたりするようなものに圧倒的に惹かれる。
私にとってSXR-5はそんな存在だ。
最高で最強であるが、けっして完璧ではない。
むしろ気難しく、なかなか打ち解けない、無愛想で不器用な替芯である。
それだけに愛しくて、目が離せない。
そしてそんなSXR-5がエンジン全開になったときの疾走感。
筆記具にせよ、紙製品にせよ、私が求めるのは私を遠くまで連れて行ってくれる可能性みたいなものだ。
その筆記具じゃないと、その紙製品じゃないと生まれなかった言葉や発想に立ち会いたい。
そしてそれはきっとあると信じている。
SXR-5は間違いなくそうした文房具の一つだ。

文房具ぶんぶん倶楽部、移転おめでとうございます^^/
傘の話(地下鉄の中に傘を忘れたけど、ぶんぶん倶楽部のテプラが貼ってあったおかげで戻ってきた話)を読んで大笑いして以来、密かに楽しみにしていました。
さて、この記事を読んでさっそくジェットストリーム0.5を、黒・赤・青と3色買って参りました。
さっそく、昔のアルファロメオとかフェラーリのような(乗ったことないけど)、手間がかかるし、最初はイマイチだけど、あったまって全開になったらスゴイ!!、というエンジンを楽しみたいと思います^^
こんにちは。
なんていい人なんですかねこぱんちさんは!
とてもうれしいです!
ブログに書いた通り、本当に半端なく気難しいSXR-5ですが、気難しさでいうと「替芯の状態で売られている人」が一番厳しくて、「ジェットストリーム0.5に最初から入っている人」はそうでもないことに気づきました。
やっぱり製品に入っている人はエンジンがある程度あったまっているのかしらん?
最初から気難しかったらさすがに誰も買いませんもんね…
というわけで、ねこぱんちさんは案外早くエンジン全開になるかもしれません。
油性の0.5はゲルの0.3〜0.4くらいの筆記感と思います。
インクの乾きを気にしないでいいのは快適です。
素敵なジェットストリーム0.5ライフを!