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無罫フォント

猫町フミヲの文房具日記

PILOT展示会・屈辱のシャー芯篇。

予告どおりシャープペンシルの話をしようと思う。

今、小生の中で密かにシャープペンシルが熱い。
なぜかというと話は先日のPILOT展示会にさかのぼる。

このたびPILOTから新しいシャープペンの芯が出るとのことで、そのブースでの話。
一見して三菱のナノダイヤや、ぺんてるのシュタインを意識した芯であることが明らかなその新商品。
実際近づいて商品説明のボードを読んでみても、A社、B社との比較みたいなのがあって(濃さ、折れにくさ、なめらかさ等の要素を分析した多角形の図←個人的にこの図めっちゃ好き。名前があれば知りたい…)、絶対これナノダイヤとシュタインやんか、とガン見。

えーっとどっちがA社かな。
折れにくさが飛び出てるから、えっとこれはぺんてる?
いや、ナノダイヤも丈夫なんか、ちょっと待てよどっちがなめらかなんや。

ガン見しすぎて目をつけられたのか、まだその図を十分に読んでいないうちに「お試しください」と声をかけられてしまう。
見れば机の上には「A社」「B社」と書かれたシャープペンが。
心の準備ができていないうちに握らされ、数文字を書き、なんとなく三菱とぺんてるを言い当てることができたが、

分からんかった…
正直、あんまり分からんかった…

で、肝心の新製品も試したが、実際とても魅力的な書き心地ではあったのだが、それとナノダイヤ、あるいはシュタインとの違いがやっぱりよく分からないのだった。
これはナノダイヤよりいいですなあ、シュタインも降参ですなあ、とまで思えないというか、まずその根拠がない、あるいは弱いのだった。
ボールペンを試し書きするときのような鋭さで実感できないのだった。

例えば油性ボールペンなら、サクラとトンボとプラチナのインクを比べている感じ。
これは相当難しいのではないか(自分で言い出した例えなのに頭を抱えたくなる)。

まあ、要するに全然分からなかったのだ。
ピンとこなかったのだ。
そしてそうやって茫然としている小生に担当者は言ったのだった。

「分かりませんよねえ。でも、これ一番シャープペンを使う十代の方に使ってもらった調査の結果なんです」

先述の「A社、B社との比較の多角形の図」のことである。
なるほどシャープペンの芯の名前を伏せて使ってもらっても、PILOTから今度出る芯がナイスと判断されたらしい(こういう場合、他社のがナイスと判断されたらどうなるんだろうか)。

まあこういう調査方法はありがちだし、データがすべてでもないのでさておくとしても、「一番シャープペンを使うのは十代」というのは正しいと思うし、それを言われると手も足も出ない。
ああ三十代で悪かったな。
今じゃすっかりシャープペンから遠ざかり、替芯と戯れる薄汚れた大人さ。
これでも昔は十代だったんだ。

芯の担当者が心なしか勝ち誇っているように見えたのは気のせいだろうか。
実際、小売店の筆記具担当者がピンとこなくても、買って行くのは十代の学生を中心としたシャープペンユーザーなのだから、小売店の反応など興味ないのかもしれない。
置けばきっと売れるし、使えば良さが分かってもらえる。
そんな表情だ。

が、小生は釈然としない。
文具店員としてではなく、一文具マニアとして。

分かりたい。
実感したいのだ。
ナノダイヤを、シュタインを、そして今度出るPILOTの新商品を。
いや、もうこの機会に、シャープペンの芯というものをテッテ的に体感したい。
データとか関係なく、自分の五感で感じたい。

やるしかないだろう。

芯の比較をすることにした。
三菱のナノダイヤとハイユニ。
ぺんてるのアインとシュタイン。
それから今度出るPILOTの新商品。

小生はもともとぺんてる派で、学生時代後半はアイン芯のFを愛用していた。
それまではもっぱらHBで、ユニやハイユニ、ZEBRAのドラフィックスなどを使用していたが、Fに出会ってからはアインで落ち着いていた。
しっかり一定の調子で書けつつ、粉っぽくならず、きゅっきゅきゅっきゅ軋まないところが好きだった。

しかしはたして各社の芯の比較にFは適切であろうか。
Fだと、強度の比較はできてもなめらかさや書き心地の比較は厳しいかもしれない。
ここはHBで比較すべきなのか。
あるいは2Bとか。
2Bは芯のパッケージの色がオレンジ系で好みじゃないなあ(そんな問題なのか)。

HBかFか…
ここのところまだ迷い中。

あとは、シャープペン本体。
比べるのなら、同じ軸に入れて比べないと比較にならないと思うので、いいシャープペンを一本買ってみようかと考えているのである。
「今、小生の中で密かにシャープペンシルが熱い」と書いたのは、実はこういう経緯だ。

そして仕事中に熟考に熟考を重ねた上、3名が候補に挙がった。

続く…
Commented by 赤い文具コレクター at 2010-09-15 11:13 x
いつも楽しく拝見しております。くだんの多角形の図、おそらくレーダーチャートとかクモの巣グラフと呼ばれている奴ではないでしょうか?

ワタクシも書き心地の良いシャープペンシル用替え芯を求めて、ペンケースの中にいつも違う替え芯ケースが入っております。でも、最後はやっぱりAinになっちゃうのです。

PILOTの新製品、店頭に並んだら試してみますね。
Commented by mukei_font at 2010-09-15 23:20
>赤い文具コレクターさん
はじめまして。
ようこそ無罫フォントへ。

例の多角形の図の名前をありがとうございます。
誰かが教えてくれるかも…と思いながら書いて正解でした。
そうですか…レーダーチャートにクモの巣グラフ…(キラーン)
ありがとうございます。

シャープペンシルに関しては、まだまだこれからの小生。
使用頻度がどうしても低いので、ボールペンのように詳しくなれるかどうか不安です。
ヘビーユーザーだったころに、今のような知識があればたっぷり比較研究できたのに…

でも、赤い文具コレクターさんもアイン芯というのを聞いて、ちょっとほっとしました。
やっぱりマニアはぺんてるに落ち着くんでしょうか。
シュタインは試されました?

ちなみに私は青系が好きなので、結果的に青い文具コレクターです。
Commented by TetzuoR at 2010-09-19 10:34 x
ご無沙汰してます。
いつも楽しく読ませてもらっています。
多少涼しくなってきて、ほっとする今日このごろですね。

話題のシャープ芯は、数ヶ月前のマイブームでした。そのころ、比較用にパイロットのS3を2本用意して、ぺんてる、三菱、パイロットの3社を比べてみました。

筆記具を揃えないと芯の比較は出来ないと思い、S3は低価格の割りにしっかりした作り、かつ、軽くて芯の素性がわかりやすいので選びました。

ぺんてる(Ain Stein)と三菱(ナノダイヤ)は印象が近いのですが、ぺんてるの方がやや柔らかい。パイロット(Neox Eno)は全然違っていて、濃くて滑らかな書き味でした。

で、自分が常用するなら Neox Eno がいいなぁ、と。同社製の重めのペン(グランセ)との相性も良いです。

ちなみに、マイブームの原因はいきつけのロフトのぺんてる芯Ain Steinのコーナーが、「利き芯」用にHB, H, ソフトHBを入れたシャーペンを置いていたことです。比べるとはっきり違いました。素性のわかりにくいシャープ芯を売る上で、こういうアピールの仕方は面白い試みだと思いました。
Commented by mukei_font at 2010-09-20 00:42
>TetzuoRさん
こんにちは。
お久しぶりです。
いいですねーS3での比較!
PILOTのネオックスイーノは0.3しか使ったことがなかったのですが、TetzuoRさんのコメントを読むと断然試してみたくなりました。
が、今度このネオックスイーノが一新された新商品が出るという話なんですよね…
いったいどんな素晴らしい芯なんだ!
やっぱりうちの店にも置いてみたいです。
「利き芯」の工夫はあちこちで見かけるようになりました。
あれ、書いて違いが分からないとものすごく焦るんですよね…
by mukei_font | 2010-09-14 23:54 | 文具屋日記 | Comments(4)

by 猫町フミヲ@無罫フォント
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