マイスターがマイスターになる日。
2012年 01月 17日
「部品取り寄せ」というのは例えばシャープペンのキャップ(頭冠やノブ、帽子などと呼ばれている)をなくしてしまった場合や、ボールペンを落として口金を凹ませてしまった場合、多機能ペンのシャープ機構を壊してしまった場合などにそのパーツだけを取り寄せること。
詳細は各メーカーによってさまざまだが、「本体価格何円以上の筆記具が対象」と一定のラインを設け、各パーツごとに細かく金額が決められているのが一般的。
それらをカタログに明記しているメーカーもあるし、カタログには掲載していないが取り寄せは可能なメーカーも。
ちなみに国内の主要な筆記具メーカーはだいたい部品の取り寄せは可能。
PILOT、ZEBRA、プラチナはカタログに明記。
ぺんてるも可能だったはず。
あれ?三菱は?
今夜はそんな話から始めたいと思います。
以前も何度か記事でふれたように三菱は部品取り寄せが不可のメーカー。
いくらシャープ機構さえ直せば復活すると分かっている多機能ペンでもシャープ機構を「部品」という形では出してくれない。
扱いはすべて「修理」となり、それなりの修理代金がかかるようなシステム。
鬼。
もう鬼ですわ。
ユーザーのこともユーザーと向き合う小売店のことも何一つ考えてない鬼のようなシステム。
小生が文具店員になった時は普通に部品取り寄せできていたはずが、小生の記憶が正しければ2009年から2011年の間は部品取り寄せは不可&すべて修理扱いだったような。
「2009年から2011年」?
「だった」?
はい!
なんと今年から部品取り寄せがひそかに復活しています!
問い合わせがあってカタログの最後のページを開くまでは小生も気づかなかったのですが。
いやー
もう各方面から非難囂々だったにちがいありません。
繰り返しになりますが、ユーザーのことも小売店のことも一切考えていませんでしたからね。
「え?このキャップが欲しいだけやのに、そんなに高いん!?」
「グリップだけ注文できんの?」
「シャープ部分以外は全然大丈夫やねんで?」
(本体価格に応じて修理代が決まっており、例えばジェットストリーム4+1なら修理代が¥630だった)
どんだけつらかったか…
つぶれた口金さえ取り替えれば復活するボールペン。
いくら魔法の針でつつきまわしても直らないシャープ機構。
なぜ部品だけ取り寄せられないのか。
ほんの少しの工夫で安い筆記具といつまでも仲良くするのが何よりも好きな小生だけに、故障がらみの三菱の筆記具の接客は本当に苦痛だった。
が、今年からは他メーカー同様部品取り寄せOK。
これで積極的に接客できる。
「いざというときに部品だけ取り寄せられない」ことにこりて、PILOTのDr.グリップ4+1やZEBRAのクリップオンマルチに乗り換えたお客さんもたくさんおられたので。
さて、よかったよかったと興奮が一段落した瞬間小生の頭にひらめいた一つのアイデア。
これはもしやあの「夢のペン」が手頃に作れるようになるということでは…(額にぶっとい汗)
「夢のペン」。
覚えておられるでしょうか、あったらいいなこんなペン・ノック式消しゴム付太軸多機能ペン。という壮大なプロジェクトを。
そしてその際に誕生した「スタイルフィットマイスター猫町バージョン」を。
あの時は「ノック式消しゴム付太軸多機能ペン」というリクエストに応えるべく試行錯誤したが、「ノック式消しゴム付」の部分はさておき、今はスタイルフィットマイスター5色ホルダーのグリップを替えた最後の部分にだけご注目。
簡単に説明すると、「スタイルフィットマイスター猫町バージョン」とはスタイルフィットマイスター5色ホルダーのグリップ部分をジェットストリーム4+1のグリップにチェンジしたもの。

これ、見た目がかっこいいだけでなく、バランスもいいすぐれものなんです。
スタイルフィットマイスター5色ホルダーだけだと軽すぎるところに、ある程度重みのあるジェットストリーム4+1のグリップ。
その両者を組み合わせるとちょうどいいバランスになるんですね。
で。
上述のように部品取り寄せが可能となった今、なんとこの素敵なマイスターが比較的お手軽に実現できてしまうという。
ジェットストリーム4+1のグリップは¥300(税抜)ですから(今日調べた)、スタイルフィットマイスター5色ホルダーの¥500(税抜)と合わせても¥800(税抜)。
¥800(税抜)ですよ!?
グリップのために本体ごと買わなあかん(¥500(税抜)+¥1000(税抜))→そんなん無理、な夢の計画が実現可能な価格に!
マイスター5色ホルダーがどんくさかったのはむちむちとしたあの太さだけじゃないんです。
あの「ぬーん」としたつかみどころのない、そう、まさしくつかみどころのないグリップ。
あのせいでずいぶんもっさりした印象になっていたんです。
そこに重みのあるラバーグリップでどうだ!
だいぶ印象ちがいますよ。
さらに。
ジェットストリーム4+1のピュアモルトバージョンというのがあってですね、グリップ部分が木なんです。
しかもオークウッド・プレミアム・エディションという落ち着いたいい色の。
もしやこのグリップもマイスター5色ホルダーのグリップとチェンジできるのでは?
はいできた!
泣く子も黙るスタイルフィットマイスターピュアモルトバージョン。
ジェットストリーム4+1ピュアモルトバージョンのグリップは¥700(税抜)。
スタイルフィットマイスター5色ホルダーの¥500(税抜)と合わせても¥1200(税抜)。
イケる、イケる!
グリップのために本体から買っていたらマイスターの本体と合わせて¥2500(税抜)もするんですから。
でもそこまでしてスタイルフィットにする必要ある?
あります。
スタイルフィットなら油性のジェットストリームとゲルのシグノの両方を1本にすることが可能。
ジェットストリームのにじみ抜けが怖いものに書くときはシグノを使えばよろしい。
多色のジェットストリームに比べて芯が長いのも魅力。
さらにシャープ機構を入れたときの後端ノックも素晴らしい。
スタイルフィットマイスターが世に出た時に「どこがマイスター?」と笑った諸君たち(小生含む)。
スタイルフィットを女子どもの手から取り戻す時が来たようだ。

しかし我が家には、ビクーニャフィード2+1と、スタイルフィックリップオンマルチがあるのです…これ以上使わない多色芯を増やしちゃダメだ(´Д` )

「ジェットストリーム インサイド 4&1」ってやつですか?確かに2,100円は勇気がいりますねえ!しかも、私はほぼ日ユーザーの為、ジェストは使わないのですが、私のような非ジェスト派でも、この『スタイルフィットマイスターピュアモルトバージョン』は魅力的ですよぉ、やばい。。。
あまりに貧しくって、コレクションと化していた、限定のDr.GRIP達を手放そうと思っていた所なのにー!

4+1も(使わないけど)持っているので猫町さんレポートを見て、グリップの重さ加減はいいなあと思っていましたが、ピュアモルトのジェットストリームインサイド…(のグリップ)! はあはあ。あの太さが手になじめば、とっても素敵ペンですね。
油性の緑もスタイルフィットで出してくれたらなーとか、ジェットストリームカラーの油性ブルーブラックやアッシュグリーンなんかもスタイルフィットで出ないかなーとか、夢が広がります(笑)。

何となく安すぎるかなーっと思ったんですが。上部の多機能な、芯を挿す部分の方がメカって感じで高いのかしら(^_^;)。


素晴らしい記事に衝撃を受けて初めてコメントさせていただきました。
早速やってみたいのですが、少々気になる点がありまして。
・ノックした状態のペン先もぴったりなのでしょうか?
・筆記時のガタツキなどは問題ないでしょうか?
よろしければ教えてくださいませんでしょうか。

三菱ともあろうメーカーが部品取り寄せ不可だったんすか?!と担当さんに突っ込んだ記憶があります…

ご存知かもしれませんが、三菱の部品取り寄せの中でもシャープ機構取り寄せに関しては本体を預けないといけないそうですよ。
ただそれが、ジェットストリーム4&1だけがそうなのか、それとも他の多機能にもあてはまるのかが記憶が曖昧ですが;
あと、みおさんがコメントされてますが昨年の半ばくらいからやってますね。
7月に辞めた上司が各店分の部品価格一覧を印刷してたのを覚えてますので・・(^^;)
遅くなりましたが素敵な年賀状をありがとうございました!
私が送りつけたものはご迷惑じゃなかったでしょうか・・;
今猫町さんの過去記事を順番に読んでいる最中で、是非送りたいと思って勝手ながら送らせていただきました。
ほんの少しでも喜んでいただけたら幸いです!
やってませんでしたよ(断言)。
これは推測ですが、販売会社単位で方針が違ったんじゃないかと思います(もしそうでなければ弊社がメーカーときちんと連携できていなかったということなのでしょう。もっとも何度もメーカー担当者に直接交渉してあの結果だったので現場としてはそれ以上頑張りようもなかったわけですが)。
シャープ機構の取り寄せに関しては最近はPILOTも同様のことを言ってますし、プラチナもできたらそうしてほしいと言ってますね。
きっといろいろな混乱やトラブルがあるのだと思われます。
それからナツさん、素敵な贈り物をありがとうございました。
部屋のポストに入っていることに全然気づかず、ずいぶんあとになってから気づきました。
どうもありがとうございました!

この夢のペンを実際に作ってみて使ってみました!
すると、確かに持ったときの安定感はあるのですが、シャープユニットのノックがきついのと、スタイルフィットの芯の長さがもう少しほしいといった感想を持ちました。
長さが足りないという点について、筆記自体はできるのですがなんとなく違和感があり、あと2~3mm長ければいいのに~!と思います。
また、ボールペンが出ている状態でノック部分に触れてしまうと、その時で違いますがペン先が引っ込んでしまいます。スタイルフィットの本体の問題なのかもしれませんが、やさしく取り扱わないとご機嫌を損ねてしまう印象があります。
シャープユニットのがたつきは多少がりますが、多機能ペンの宿命程度に感じていますので気にはしていません。
猫町さんの夢のペンはそのようなことはないのでしょうか?もしかしたら私のやり方が間違っているいるのでしょうか。。。
よろしければ教えてください。
はじめまして。
ようこそ無罫フォントへ。
ご質問の件にうまくお答えできないままに力つきようとする小生をどうかおゆるしください。
復帰後に記事にするのではあまりにもお待たせしてしまうので文章だけで失礼します。
スタイルフィットマイスターのグリップをジェットストリーム4+1やジェットストリーム4+1ピュアモルトバージョンのグリップと入れ替える話ですが、この両者の使用感はほぼ同じなので以下同列で書かせていただきます(あるいはピュアモルトグリップバージョンは長く使うとちょっと違うかもしれませんが…何ぶん他人の物なので時間をかけた実験は出来ておりません)。
まず、芯の長さがほんの少し足りない点についてはもみじさんのコメントにあるとおりです。
が、細かいことを気にされない方なら許容範囲かなという気もいたします。
がたつきはないように思いましたが、感覚には個人差があるので絶対に大丈夫だとはいえないかもしれません。
レバーノックが戻りやすい件については、小生はさほど気になりませんでしたが、もみじさんとはつめこんだリフィルに差があるのと、そもそもジェットストリーム4+1にもそのようなところがあるのとで(当初購入した直後は不良品や!と思ったが今は慣れた。以前記事にしたようにビクーニャ多機能の方がひどいように感じる)、まあこんなもんかな…といった感じ。
ただ一つ、付け加えさせていただくことがあるとすれば、そもそもの「ノック式消しゴム付太軸多機能ペン」の依頼者であった方から、「このペンを愛用中であり、そして今後も数本増やす予定である」という旨のメールを最近受け取ったことです。
この方はジェットストリーム4+1のグリップで試されていますからピュアモルトのグリップについては分かりませんが、少なくともスタイルフィットマイスターのグリップをジェットストリーム4+1のグリップにするのは問題ないといっていいのではないでしょうか(依頼者は芯の短さが気にならなかったようですね)。
なお、スタイルフィットマイスターのグリップを替えたことによりインク色識別用の透明窓が失われた点については、クリップ部分に入れた芯を目印にしているとのことで、問題ないようでした。
nakaさんがピュアモルトグリップについての詳細をお知りになりたいのであれば、役に立たないレスになってしまいましたね。
どうかご容赦ください。

はじめまして。
ようこそ無罫フォントへ。
ご質問の件ですが、自分は文具店員を辞めてからもう6年になり、正確な情報を持っておりません。
最寄りの小売店で聞くか、メーカーのHPを確認してみてください。
三菱鉛筆のHPの場合は「お客様相談室」の中に「部品を買いたい」という項目があるようです。