届かなかった手紙。
2016年 02月 15日
とりわけチョコレートに愛があるわけでもないのですが、お中元やお歳暮ほど格式張らずにご挨拶できるかなと10年ほど続けています。
が、今年は悲しいバレンタインになってしまいました。
チョコレートを届けられなかったのです。
ご自宅には届いたのですが、その方はもうお亡くなりになった後でした。
差出人の連絡先を見たご親戚の方からお電話をいただき、愕然としました。
チョコレートは仏壇に供えました、と言われてもまったく実感がありません。
あれからしばらく時間がたち、ようやく思ったことは「届かなかったんだな」ということでした。
チョコレートも、チョコレートに添えた手紙も宙に浮いてしまったのです。
猫町が猫好きなのをご存じのその方は、猫町からの手紙がいつも猫柄の便箋であることをとても喜ばれていました。
また、猫町が文房具好きで、字を書くのがこの上なく好きなこともよくご存じで、猫町の稚拙な文字もよくほめてくださいました。
そんなあたたかい反応を期待して、今年も猫柄の便箋にちまちまと手紙を書いたのですが…
いつもより長くなった手紙の最後には、普段はしない「会いに行く約束」なども書いたのですが…
自分は死んだことがないし、仮にあったとしてもその記憶がないので、死後どういうことになるのか分かりません。
仏壇に供えたら手紙が読めたりするのでしょうか。
それは封を開けて、広げたりしなくても?
まだまだ機会があると思い、その方宛ての住所を書いた封筒も残っています。
封筒を見た瞬間から楽しくなるように、猫柄のメモ帳を宛名シール風に使ったものでした。
届けたいものが届けられなくなることが、お別れということなのかもしれません。
そしてそれは突然やって来て、こちらはそれを受け入れつつ、その方の思い出の入り混じった自分のストーリーの続きを歩んでいくのだなあと思います。