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猫町フミヲの文房具日記

USED文具(補助軸)。

古いものを扱う仕事をしている関係で、古い文房具というものにしばしば出会います。
しかし、古い文房具にもいくつか種類があり、扱われ方もさまざまです。

例えば古さに価値がある文房具であれば使用品でも展示しますし、場合によっては売れることもあります。
また、古いのに保存状態がよい、あるいは未使用の文房具ということになればかなりの人気商品です。

これらは状態に差はあれ、「古いもの」というおもしろさがあり、ある意味扱いやすいわけですが、一番微妙なのは、古さに価値があるほど古くはなく、しかもすでに誰かが使ってしまっているという文房具です。

それらはほぼ「ゴミ」としてやってくることが多く、小さくて処分しやすいこともあり、無慈悲にも捨てられていきます。
そりゃそうですよね。
古道具としての価値はなく、リサイクルショップが引き取ってくれるほどの状態でもないわけですから。

が、やはりまだ使えそうな文房具をゴミ袋にがらがらと投げ入れることなど自分にはできないのでした。
文房具に限りませんが、いろいろな引き出しから出てきたガラクタをどうしても捨てられず、昨年は木琴堂で「引き出しの中のガラクタ展」という展示をやったりもしたのですが、その中にあった文房具を今使っているという話をしたいと思います。

こちらなんですが、銀色のよくある補助軸です。
USED文具(補助軸)。_f0220714_10454912.jpg

これは先ほどの「引き出しの中のガラクタ展」の写真でいうと、セルロイドのペンケースに入っていたものなのですが、汚れてくすんでいたのをきれいにして使っています。

ご覧のとおりへこんでいますが、伊東屋のおしゃれ補助軸(見た目がいいだけで、長い鉛筆が入らない補助軸としてはかなり残念な代物)よりはずいぶん使いやすいのです。
USED文具(補助軸)。_f0220714_10463385.jpg

いったいどこの誰が使っていたものか分かりませんが、ありがとうございます。
人のものを使うなんて、と中古品に抵抗のある方もおられると思いますが、自分の場合は汚れを落として気の済むまでみがいたらもう自分のもの、という感じです。
そもそも古道具というのはそういうものなので。

もちろん、古道具といっても眺めて飾るようなものは誰かの使ったものでもよいけれど、実際に手にして使うものは新品がいいという方もおられますよね。
これは古着愛好家でも肌着は新品がいいというのに似ているかなと思っています。

文房具はとくに筆記具や紙製品の場合肌着に近いところがあるので、小引き出しやペーパーウェイトはレトログッズを好んでも、実際に書くものは新品がいいという感覚は非常に分かる気がします。

それでもまあ、道具は使われたがっているに決まっているので自分が率先して使うことにしています。
こういうものはいくら古道具屋とはいえ売り物にならないので。

ということで、古いといっても案外似たり寄ったりの年齢かもしれない銀色の補助軸をなでまわしている猫町でした。
Commented by りお at 2016-03-02 17:48 x
むかし持っていた気がします・・・
筆記具は「新品のほうがいい」のはわかる期がします。
やっぱり、元の持ち主さんの手の癖とか、しらずしらずのうちに少し曲がっていたりとかあるような期がするので・・。
それでも「レトロ」感に惹かれてついお買い上げしてしまうことも・・。
Commented by mukei_font at 2016-04-01 00:18
>りおさん
個人的に万年筆は使用感がありすぎると実用使いは難しいのではないかと思っています(ペンドクターに診てもらうなどすれば大丈夫かもしれませんが)。
しかし、ボールペンは芯を入れ替えれば新しい気持ちで使えるし、鉛筆も削ればリセットできるような気がします。
紙製品は劣化の激しいものはコレクションとして眺めるだけになることも多いです。
レトロ文具もケースバイケースで十分楽しめますよ。
by mukei_font | 2016-02-19 23:59 | 筆記具・鉛筆 | Comments(2)

by 猫町フミヲ@無罫フォント
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