前回の続きです。
三菱のEXCEEDシャープの2つ目のチャームポイントは古めかしさです。
レトロ、などと言った方がいいのかもしれませんが、なんだかごつごつとした古さを感じるんですよね。
例えばノック部分の小さな三菱マーク。
例えば魔法の針付きの消しゴム。
魔法の針はPL法(製造物責任法)の関係で消しゴムには付かなくなったと記憶していますが、あれはやはりある方が便利です。
EXCEEDシャープを使っていると文具店員時代に接客した一人の少年のことを思い出します。
いつも制服姿でやってくるその少年はシャープペンが好きなようで店頭にある商品を見て回るのですが、ある時その少年に質問されたのでした。
少年は高級筆記具(といっても2500~5000円くらいの贈り物にしやすい価格帯のペン)の中のシャープペンを手に取って、
「このシャープペンは何がすごいのですか?」
というようなことを聞いてきました。
要は「何がすごくて2500円もするのだ」といったニュアンスの質問です。
「本来はおそらくボールペンや万年筆をメインに商品にしているがそのラインナップの一つとして同デザインのシャープペンも作られているのではないか。値段が高いからといって書き味が優れているとかそういう話ではなく、贈り物にふさわしいペンのラインナップの一つみたいな感じ」
みたいなことを言った気がします。
要するにペンの重心であるとか握りやすさであるとかを考え抜いて作られたがゆえに高価になったシャープペンではない、ということです。
その時少年が心惹かれていたシャープペンが何だったのかまでは覚えていませんが、そう説明した後も何度も手に取っていたので気になっていたのでしょう。
そう。
結局気に入ったものが正しいのです。
重いばかりで多少持ちにくくても緑とゴールドのかっこいいシャープペンが転がっている光景って結構いいものです。
あの時そう言ってあげればよかったな。
正しい情報を伝えるのも大事だけどそういうシャープペンを使うのもかっこいいし気分転換になるぞ、って言ってあげればよかったな。
あの時の少年が今も文房具好きのビジネスマンになっていたらいいなと心から思う猫町です。