猫町フミヲの文房具日記
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2012年 05月 11日 ( 1 )

100円ボールペンの宇宙〈補足と蛇足〉。

先日より「100円ボールペンの宇宙」と題して長々と書いてきたこのシリーズ。
読みやすいようにブログのレイアウトを変えるべきか悩むほどの長文になってしまい、反省しております。

さて、本日は「100円ボールペンの宇宙〈補足と蛇足〉」ということで、ほんの少しだけ続きを。
ほんの少しだけ。

だらだらと書いてはあるが結局ただの自分語りやん、けむに巻きやがって、と思われた方のために具体的な比較話などをしたいと思います。
が、正直あまり気が進まないんですよね…

ジムノックの記事のときにも書きましたが、いわゆる新油性ボールペンではない普通の油性ボールペン同士の比較というのは非常に難しいものがあります。
そんなに明らかな差がないというか。
閾値の話もしましたが、本当にその差は微妙なもの。
あの時代のわれわれの感度はすごかった。

三菱のジェットストリームが世に出た頃の三菱の展示会の演出の一つに、「普通の油性ボールペンと書き比べてみよう」というのがありました。
同じ外見をしたボールペンが2本置いてあって、どちらかがジェットストリーム、どちらかが普通の油性インク、さあどっちがジェットストリームでしょう。
あるいは同じ外見をした数本のボールペンが置いてあって、中身はA社油性インク、B社油性インク、C社油性インク、ジェットストリーム、さあどれがジェットストリームでしょう。

これらは簡単です。
ほとんどの人はジェットストリームを言い当てることができます。
明らかに濃くなめらかだからです。

が、A社油性インク、B社油性インク、C社油性インクをそれぞれ言い当てることのできる人が何人いるでしょうか。
はっきり言って小生もこれはまったく自信がありません。

ずっと使っていたらもしかしたらZEBRAは見抜けるかもしれない(ジムノックの記事で述べたように他と比べると少し薄い)。
ぺんてるのローリーも分かるかもしれない(油性顔料で特徴がある)。
でも試し書き程度では無理です。

そもそもボールペンというのは試し書きの段階ではどれもとりすましているものです。
ただでさえ横並び状態の普通の油性ボールペンたちが一瞬で本性を見せることはありません。
実は薄いZEBRAだって試し書き程度ではそのぼろを出さないのです。
試し書き程度で見抜けるのは、最初からキャラがはっきりしているジェットストリーム、アクロボール、ビクーニャ、スラリなどの新油性ボールペンたちだけではないでしょうか(これは見分ける自信あり。が、厳密にはアクロボールもビクーニャも猫かぶりの傾向あり)。

いや、使い続けていても普通の油性インクの見分けはあやしいものがあります。

芯の個体差があるのかも?
軸によるのかも?
芯の鮮度は?
季節の影響は?

思わずそんなことを考えてしまうほどあやふやな、もうそんなことを言ってたら何も始まらへんがなというくらい微妙な話なんです。

というのも、小生はPILOTのスーパーグリップノックでPILOTに開眼したと書きましたが、それ以前に同じ芯(BSRF-6F)が入っているDr.グリップ(旧式)もレックスグリップも使っているわけです。
なぜその2者で「こりゃ書きやすいわい」と思わなかったのか。
Dr.グリップはあまりにもグリップが特徴的だからしかたないとしても、レックスグリップにいたっては同じ100円ボールペン仲間なわけです。
小生がピンときたのは芯のBSRF-6Fに対してではなかったのか。

軸が変わるだけで印象の変わる油性インクの不確かさ。

これはのちにボールペンを「芯+軸」と考える契機になっていきましたが、それだけ普通の油性インクというのは微妙なものなんだと思います。
例えば芯がジェットストリームのような特徴的なインクであれば、軸が変わってもインクの要素をある程度固定して軸の影響に注目できたと思うからです。

だからこれから述べることも、ふーんくらいで聞いてくださればありがたいです(結局自分語りやん。それにもうすでに長くなっているぞ)
ここまで予防線をはらせていただいたので、あくまでも「主観」ということで、今回の「100円ボールペンの宇宙」に取り上げた「ザ・100円ボールペントリオ」の3人について簡単に印象をまとめたいと思います。

ZEBRA・ジムノック

インク:薄め。やや不安定。
ノック:感触も音もひかえめ。
グリップ:ひかえめ。

PILOT・スーパーグリップノック

インク:普通。やや濃いめ。たまに糸を引くことあり。
ノック:感触も音も普通。
グリップ:普通。

三菱・楽ノック

インク:普通。
ノック:感触はやや強め。音はやや高い。
グリップ:やや汚れやすい(ゴミがつきやすい)。耐久性にやや難あり。

まあこんな感じではないかと思います。

インクが一番安定していて、可もなく不可もなかったのは楽ノック。
これは数本ですが替芯を使ってみて、そう感じました。
PILOTと覆面比較して分かるかどうかまでは自信がないのですが、なんとなくインクは楽ノック>スーパーグリップノック。
とにかく糸を引くのが嫌いなたちです(ただし楽ノックも糸を引かないわけではありません。これはもう油性ボールペンの宿命みたいなものです)。

じゃあ楽ノックが最強かというと、楽ノックはいろいろな点で△な人でした。
これはじっくり使ってみて初めて分かったことですが。

ボディにやや難あり。
なんというかグリップの出来がよくない…気がします。
疲れやすく、汚れやすい。
そしてずっとぎゅうぎゅう握って書いていると下のほうがだぶついてずれてきてしまうという…

これは小生の握り方に問題があるのかもしれませんし、個体差かもしれません。
100円ボールペンですから、そんなに高い完成度を求めてはいけないのかもしれません。
が、これはスーパーグリップノックにもジムノックにもなかったことでした。
特にジムノックは何十本も替芯を入れ替えるほど使ってもまったく問題がなかったわけですから。

なので、楽ノックは芯は◎だが軸は△。

それではこの芯を何か気のきいた軸に…と「芯+軸」の考えにそまった小生は当然考えるわけです。
が、そこに立ちふさがるのが替芯の互換性の壁。

楽ノックの中にはSA-7CNという芯が入っていますが、まあこの芯の互換性のなさには泣かされます。
小生が勉強不足なだけなのかもしれませんが、そうほいほいと候補の軸が見つかる芯ではありません。
同社のユニαゲル(のぽっちゃりしたほう。スリムなほうはまた違う芯)にはこの芯が入っておりますが、あのもちもちの軸は小生にはありえません。
100円ボールペン仲間のアクアタッチもいますが、わざわざアクアタッチとか…
それに小生は100円ボールペンはボディが透明ですっきりしていてこそという思い込みがあります(女の子は黒髪ロングで白いワンピース的な安直な妄想)。

なんじゃい、SA-7CN!

あ、でもこのSA-7CNというのはいわゆるノベルティ等の名もない替芯対策にはもってこいの替芯であります。
突起の位置が少し後ろにずれていて妙に長いのが来たらSA-7CNを少しカットしていけるのが多いです。
おすすめ。

あと、もう廃番になりますが、ジェットストリームカラーインクシリーズの旧タイプ(使い切りのやつ)の中にはこれが入ります。
使い切った軸を捨てるのが惜しい方はSA-7CNをぜひ。

とまあマニアにはある意味おいしいSA-7CNですが、普通はあまりおいしくないわけです。

繰り返しになりますがこれは本当に惜しいことで、というのも楽ノック以外の2者には互換性があるからなんです。
ZEBRAのジムノックの替芯K-0.7と、PILOTのスーパーグリップノックの替芯BSRF-6Fは互換性あり。
にもかかわらず、外見はトリオを組めるくらいにそっくりの楽ノックの替芯SA-7CNはまったく別の形。

嗚呼。
どうしてなんですか。
何を考えたんですか楽ノックを開発した人!

もし楽ノックに入っている芯がS-7Lなら完璧だった。
S-7Lならジムノックの替芯K-0.7ともスーパーグリップノックの替芯BSRF-6Fとも互換性あり。
これであっさり夢の100円ボールペンが作れたのに。
嗚呼。

楽ノックの記事でちらと書きましたが、楽ノックのインクとS-7Lのインクは微妙に違うと小生は思います。
というのもカタログにも商品にもわざわざ楽ノックのインクだけ「VERY楽インク」と書いてあるからなんですね。
普通の油性と新油性ほど顕著な違いではないものの、油性同士の間に微妙にインクの差を設けるというのは各メーカーではよくあること。

これはもしかしたら新商品ができるタイミングでインクの改良もし、それでGOとなる替芯が作られたからかもしれないと想像するのですが、そうなってくると大昔からあったS-7SやS-7LとSA-7CNは違うのでしょう(想像ですよ)。
あーそのときになぜすべてのインクを「VERY楽インク」にしなかったのか。

PILOTでいうところの「Aインキ」的な微妙な立場だったのか?
旧インクのファンもいるからどっちかに統一するのは難しいみたいな?
それとも単に商品管理が難しかったのか?
どこまでが普通の油性でどこからが「VERY楽インク」なったのかが分かりにくくなるのを危惧して?
これをやらずに「Aインキ」をうやむやにして同じ品番のまま中身を「アクロインキ」に変えてしまったメーカーもあるというのにーーーーー

まあまあ。

なお、楽ノックのキャップ式である楽ボの替芯SA-7Nも「VERY楽インク」。
なので、ノック式でこれが入っているユニαゲルのスリムであるとか単色のクリフターであるとかでも「VERY楽インク」は堪能できるわけですね。

あれこれ想像で書いてきましたが、いやいやいやいやー何言うてはりますのん、S-7LもSA-7CNも一緒のインクやでーという場合は教えていただけたらと思います。
喜びます。

もう何の話なんだ。
そうか、楽ノックの替芯のSA-7CNがジムノックやスーパーグリップノックの替芯と違って夢の100円ボールペンが作れなかったという話でした。

そう。
で、結局小生が妥協したのはS-7L。
この形が一番互換性があるんですよ。
単色にせよ多色にせよもうこの形が一番つぶしがきくんです。

で、S-7Lをスーパーグリップノックやジムノックに入れる案あたりで100円ボールペンの追究熱も落ち着き、文具業界に入ったあたりから、ああ100円ボールペンも素晴らしいけれど世の中にはなんとたくさんの筆記具があることか!となり、S-7Lをいろんな軸に入れていくようになるわけですが…

今考えると、SA-7CNはともかくS-7Lがそこまで優秀なのかどうかは疑問です。

当時の小生の中での位置づけは、インクの安定感という観点で、

SA-7CN≧S-7L≧BSRF>K-0.7

だったのですが、S-7LはもしかするとSA-7CNの好印象に引っぱられた小生の思い込みで、実は、

SA-7CN≧BSRF≧S-7L>K-0.7

だったのかも…とも思うのですが、結局はK-0.7を愛したような人間である小生、どちらかというとインクが濃くて糸を引いてしまうPILOTを敬遠したのかもしれません。

だって、油性芯最強がS-7Lとかちょっと微妙すぎるでしょ。
何考えてたんだ自分。
本当に本当にS-7Lが最強なのかと言われると…こんなに字数を費やしても正直分からないんですよね。

そもそもS-7Lなんてどの軸で試せばいんだよって話。
ピュアモルトの中とかネームペンの中とかあと証券細字用なんてのの中もS-7Lなんですけどね。
えへえへ。

まあそれだけ普通の油性インクは微妙で奥が深いという話でした。

あかん…
結局長くなった。
しかも後半替芯の話ばっかりになった。

そうなんです。
実はこの「100円ボールペンの宇宙」のシリーズは、結局小生がいかにして替芯にはまっていったかについて語りたかっただけのシリーズでした。

100円ボールペンの話を突き詰めて行くと、結局は替芯の話になってしまう。
このことこそが神髄なのであります。

追記
以前の記事で興味深いものを見つけた(当方国産の安いボールペン研究家につき。参照)。
要するにこういうことを語りまくったわけですな。
あの時のお客さん、元気かなあ…
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by mukei_font | 2012-05-11 13:22 | 筆記具・油性ボールペン | Comments(4)